軍曹編

CAMERA TALK/THE FLIPPER'S GUITER
NO TRACK NAME TIME WORDS MUSIC ARRANGE
1 恋とマシンガン/Young, alive, in love 3:53 All songs written and arranged by Keigo Oyamada, Kenji Ozawa, double K.O. corp.
2 カメラ!カメラ!カメラ!/Camera! Camera! Camera! 3:58
3 クールなスパイでぶっとばせ/Cool spy on a hot car 3:07
4 ラテンでレッツラブまたは1990サマービューティー計画/Summer beauty 1990 4:42
5 バスルームで髪を切る100の方法/haircut 100 3:46
6 青春はいちどだけ/colour field 2:47
7 ビッグ・バッド・ビンゴ/Big Bad Bingo 6:12
8 ワイルドサマー/ビートでゴーゴー/Wild Wild Summer 3:25
9 偶然のナイフ・エッジ・カレス/Knife edge caress 3:34
10 南へ急ごう/southbound excursion 2:30
11 午前3時のオプ/3 a.m. op 4:35
12 全ての言葉はさよなら/Camera full of kisses 4:44


 このアルバムが出たのは1993年だから、僕がちょうど大学に入学した年である。

 その頃は、飲んだくれたり、夜中に友達と話しながら意味もなく遠くまで歩いたり、 出口の無い恋心に胸を焦がしたり、それでも働いたり学んだりと、切なくも最高に楽しい毎日だった。

 その頃歩いた道や話していた言葉、当時喫っていた煙草の匂いを想いだすと、ふと聴こえてくる音楽がある。 それがこのアルバムだ。まるで映画のの挿入歌みたいに。
 僕がこれらの曲を聞きながら10代、20代を過ごせたことは最高にラッキーだったと思う。 写真が残っていない想い出さえ、こんな素晴らしい音楽付きで甦るのだから。

 全曲について語りたいところだが、ここでは何曲かにとどめ、残りはまたの機会に。

その1. カメラ!カメラ!カメラ!/Camera! Camera! Camera!
 この曲に共に憧れた友人と、17歳最後の夜にカメラを持ってバイクで光が丘公園に行き、写真を撮った。 「カメラの中3秒間だけ僕らは・・・。」と「本当のこと何も言わないで別れた」のフレーズが最高に良い。 この頃は女の子と「仲良く付き合う方法」より「切なさを残して別れる方法」を追求していた。我ながらバカだった。
 この曲にはテクノ・バージョンとギターポップ・バージョンがあるが、僕は後者が好き。 このあたりからアコースティック至上主義が始まっている。

その2.  ラテンでレッツラブまたは1990サマービューティー計画/Summer beauty 1990
 当時ある種の女の子たちは、ピチカート・ファイヴみたいにサイケでキッチュなフレンチ・スタイルを好んでいた。 この曲はそんな無意味で愛すべき東京パリジェンヌの、夏のデイ・トリップを思わせる。 派手なサングラスやビーチボールを携えて海に向かう彼ら。
「気が付けばすぐに夏は終わる過ぎてゆく」という歌詞にアセり、何度バイクに飛び乗って由比ガ浜に行ったことか。 しかし海パンも持たないライダーに、海は常にクールだった。

その3.  青春はいちどだけ/colour field
 仲の良い女の子と、手紙のやり取りをしていた。この曲の「週末に間に合うように手紙を書くつもり」という詞には、 僕の想いが詰まっていた。ほのかな憧憬はあるものの、何処へも行かない想いだった。実際その人はもう結婚してしまった。
「青春はいちどだけ」ってタイトルは残酷でありきたりだが、真実だ。

その4.  ビッグ・バッド・ビンゴ/Big Bad Bingo
 ホーンセクションが格好良い!!
ウッキーズはブラスバンドが母体(?)なのでこの曲はいっぺんやってみたかった。 ステージではきっと仲の良い東京スカパラダイス・オーケストラが演奏したんだろう。
「好きなだけ恋の夢を見て勝手にキスして泣いて」なんて、カッコいー!と思っていたが、 実際されてみるとイヤだった。昔「夢で逢えたら」で清水ミチコがやっていた「ミドリ」みたいだ。

その5. 偶然のナイフ・エッジ・カレス/Knife edge caress
 Big Bad Bingoと並んで大好きな曲。思春期特有の、好き何だか憎いんだか区別がつかない想いがよく現れている。 「思い切り胃を蹴り上げたら君はどんな顔をするのかと思う」なんて、ラブソングじゃ使わないでしょ。
こういう詞を書いてみたい。

その6. 全ての言葉はさよなら/Camera full of kisses
 きっと素晴らしい仲間との別れなんだろう。「分かりあえやしないってことだけを分かりあうのさ」の言葉に全てが凝縮されている。

以上、音楽的な解説にはなっていないが、愛してやまない世界の紹介でした。