小竹岳次郎編
WALZ FOR DEBBY/BILL EVANS TRIO
NO TRACK NAME TIME MUSIC
1 MY FOOLISH HEART 4:54 Washington-Young
2 WALZ FOR DEBBY (take 2) 6:59 Evans-Lees
3 DEOUR AHEAD (take 2) 7:35 Carrer-Ellis-Frigo
4 My ROMANCE (take 1) 7:12 Rodgers-Hart
5 SOME OTHER TIME 5:05 Comden-Green-Bernstein
6 MILESTONES 6:35 Miles Davis
7 WALZ FOR DEBBY (take 1) 6:48 Evans-Lees
8 DEOUR AHEAD (take 1) 7:14 Carrer-Ellis-Frigo
9 My ROMANCE (take 2) 7:15 Rodgers-Hart
10 PORGY (I LOVE YOU, PORGY) 6:01 Gershwin-Heyward-Gershwin


 ピアノトリオというのは派手な楽器がないためにとっつきにくいところもありますが、 疲れている時などに聴くと何ともいい気分になれます。その中でも特に気に入って いるのがこのアルバムです。ニューヨークの有名な"VILLAGE BANGARD"でのライブ録音です。 そのため良く聴くとグラスのなる音や話し声などが入っていますが、それがいっそう 臨場感を増しています。
 まず1曲目"MY FOOLISH HEART"が静かに始まります。 ベースは1音1音丁寧に演奏されドラムはシンバルの使い方が絶妙です。 その上にやさしいピアノが乗り、繊細で緊張感あふれる演奏です (客はそうでもない様ですが・・・)。

 続く2曲目の"WALTZ FOR DEBBY"がなんといってもいい。エヴァンスの 兄の娘"DEBBY"に捧げられたリリカルな曲。エヴァンスのピアノの良さもさることながら ここで光っているのは天才ベーシスト・スコット・ラファロ。どの曲でもすばらしい のですが、特にこの曲では神業とも言える見事な演奏をしています(ちなみにこのアルバムと 同じ日に録音された『SUNDAY AT THE VILLAGE BANGARD』というアルバムがあり、 こちらはラファロをフィーチャーした構成の曲が中心となっています)。この曲では ピアノ・ベース・ドラムが完全に一体となっている感があります。ここにピアノトリオの 1つの完成があるように思えます。

 更に続く3曲目"DETOUR AHEAD"、ここまでの3曲(の続き方)が私はたまらなく好きです。1曲目を静かに、そして2曲目を (文字通り)踊るように、そしてまた3曲目で落ち着きなおすように静かに語るようにピアノが流れます。 ベースとドラムは完全に裏方に回っているにもかかわらずしっかりと個性を見せ、それがピアノを さらにクリアに聴かせる状況を作り出しています。
 他にもエヴァンスの十八番"マイ・ロマンス"やちょっと今までの空気を変える"マイルストーン"など 名曲ばかり。ピアノトリオの良さ、そしてピアノとベースのインタープレイを堪能できる名盤です。